ランナーの「みかた」

ランニング、マラソンに関する記事を書いていきます(仮)

ソウル国際マラソン 体験記

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■持ち物
スタート前
 30分前(アスリチューン赤、カツサプ×2、ベスパ)

 

レース中
 アスリチューン(白)x2
 ベスパ ハイパー×3
 オーガニックジェルβ(強化版)×3
 電解質パウダー×3
 塩熱サプリ×1袋

 

装備(別大と変わりなし)
 adizero Japan boost3
 naked
 ウルプロシャツ
 ウルプロパンツ
 CW-X パンツ
 Itoitex(イトイテックス)の靴下(新品)
 R×Lの手袋の2重+ホッカイロ
 R×Lのレッグウォーマー

 

■作戦

 

■結果
 ネットタイム 2:52:14(旧PB 2:55:10より2’19更新)
 ラップ 19:59-19:30-19:39-19:47-19:40-20:31-21:13-22:18-9:43
 前半ハーフ 1:22:40(48%)
 ※ベストであるハイテクハーフより、約1分半速いが、中間地点が少し手前にあった気がする。1:23台が正しい数値な気がする。それでも、1分以上速い。
 後半ハーフ 1:29:34(52%)
 平均ペース 4'04"91

 

■良かった点
 ・キツい差し込みがくる中でも、PBを更新できた
 ・想定した展開ではなかったが、結果は想定の範囲内
 ・30キロまでは4’00ペースで攻めることができた
 ・いい感じで、今シーズンのフルマラソンを締めくくれた
 ・電解質パウダーを導入して正解。無かったら試合終了していた
 ・負の連鎖が続き、明るい兆しが最後まで見えなかったが、意地で走りきった

 

■改善点
 ・ゲイターがゆるく、途中でズルズル落ちた
 ・装備が多すぎ(腰にジェルが当たり、痛い。更には重たい)
 ・靴下が新品で途中で足裏が痛くなる。レース後、足裏に水ぶくれと出血あり。
 ・差し込みの原因はオーバーペースと前日と当日の食事。海外レースの食事は大きなポイントを知りながら事前対策が甘かった。
 ・電解質パウダーがうまく摂取できず。ぶっつけ本番では難易度高く、手袋は粉まみれ
 ・別大より寒くなかったが、同じウェアリングを選択してしまった(ホッカイロと2重手袋は不要)
 ・2’50を切るペースでは集団ができず、基本単独走。集団がいたら、少し休む時間に使う。分かってはいたが、別大が特殊な環境。
 ・カフェインを2週間抜いたが、オーガニックジェルの効きがイマイチ
 ・ガーミンのランニングダイナミクスポッドが機能せず(せっかくの本番データ摂取できず)
 ・沢山ジェルやサプリを用意したのが良いが、補給計画が存在せず
 ・naked内で沢山入っているが、探すのに大きく手間取る(結果、電解質パウダーは1個落下)

 ・韓国のど真ん中を走っているのに、全く景色やコースが思い出せず


■前日準備~スタートライン
12時過ぎに韓国到着。思ったより寒くない。リムジンバスか地下鉄で移動するか、最後まで迷うが、せっかくの機会なので韓国の交通機関網も知りたいので、地下鉄を選択。100分ぐらいで受け付けのある最寄り駅に到着予定が、慣れない移動のため、予定+60分ぐらいかかってしまう。無事に最寄り駅に到着して、日本事務局にて受付完了。「今回の日本人は500名ぐらい」と聞き、「思ったより多いかも」と思う。そこからホテルまで移動するが、この移動は乗り換え無しで日本の山の手線のような周回電車だったのでラクに移動できた。ホテルに到着して、日本人と分かると、即日本語で対応してくれる。良く見ると、明日の大会に向けて周りは日本人が多め。ホテルに入り、ホテル周辺を軽くジョグ。少ししか走っていないのに、周りがスタバだらけに驚く。左の足首とスネが気になっていたが、身体が温かくなるとそこまで気にならない様子。ホテルに戻り、ちょうど良い時間になったので、晩飯を調達に出かける。韓国飯は明日の楽しみに取っておき、近くのコンビニで購入。カーボローディングという得意の暴飲暴食を始める。久々に食べるポテトチップスがやけに美味しかった。幸せな瞬間。テレビを付けても韓国語なので、Youtubeを見て気持ちをリラックス。「明日の準備をしなくちゃ」と思いながらも、移動疲れがあり、そのまま就寝。準備は少し早起きして、当日朝に行った。朝起きて、窓から外をみると曇り模様。走るのは絶好のコンディションの予感。今回は初めての後泊なので、大きな荷物はホテルに置いていき、着替えとお金だけを持って、いざ出発。待ち合わせ場所に向かう。

 

■スタートライン~スタート
事前情報では、手荷物預かりは7時15分まで。スタートラインに並べるのは7時45分から。日本の大会と違って、ブロックで長い時間を待機せずに済むので非常に有り難い。時間になるまで、近くで準備運動とウォーミングアップ。スマホをいじる。ゴールドラベルの大会だけあって、会場を大音量で盛り上げようとしているが、さっぱり言葉はわからず。かなりうるさいと感じながらも、ラジオのように聞き流す。手元の時計で9時40分。スタートラインを見てみると、既に大きな集団が。並んではいないが、そこに待機している模様。「よし行くか!」と思い、列に並び出す。日本人事務局でもらったカッパが思ったより暖かく、寒さを感じることなく、レースに集中できる予感あり。並んでいたら、「ウルプロの方ですか?」と後ろから同じ日本人に声かけられる。「そうですよ。お互い頑張りましょう」と軽く会話。「アジアでも、このウェアは声かけられるかー」と思ったが、向こうも日本人(関東近辺に住むであろう)なのだから、そこまで大きなことではないことに気づく。ソウル国際では、「2:50〜のペーサーを用意」とパンフレットに書いてあったが、風船をつけたペーサーが見当たらず。3:00のペーサーは隣に並んでいるのに・・・結局、最後まで見つからず。パンフレットにも載っていたのに、なんだったんだろう。風船がなかっただけ?事前に破れちゃった?どうせ、2:50のペーサーには最後まで付いていけないので、マインドシェアから消去。あくまで、自ら立てた作戦を実行することに専念する。8時にエリートがスタートして、前につめる。最後にスマホを見たところ、「スタンバイ」という文字が目にとまる。前につめたことで、前から10列目ぐらい。8時10分ぐらいからスタートという頭でいたが、韓国語でカウントダウンらしきものが始まる。「なんだ??」と思っていたら、号砲がなる。手元の時間で8時5分。日本の大会は時間管理がしっかりしているので、「この辺りも違うなぁ〜」と思いながら、無事にスタート。大きなアクシデントなし。今回はネットタイムなので、ゲートとくぐると同時に、ランニングウォッチを押した。

 

■スタート~5km(19:59)
10列目ぐらいだったので、そこまで混雑せず。多少遅い人もいるが、あまり気にせずに、スイスイ前に進むことに。目安にしやすいランナーを探す。スタートがスムーズだと、ストレスがなく、気持ち良い。最初の1キロ 4’08を計測。体感とのズレはそこまでなし。いい出だし。ただ、ここで左右のゲイターが気になり出す。フルの時は、C3fitのゲイターを履いているが、初めて履いたハイテクハーフの時から、緩さを感じていた。ただ、レース前にしっかりと膝下まで伸ばすことでズルズルと下がることはなかったが、今回はそれを忘れていることに気づく。「気になるけど、まぁ大丈夫でしょう」と思っていた途端、右のゲイターが見事に下がっていく。足首までズレる。「まだ2キロも走っていないのに、どーして?」と思いながらも、いつ直すかを検討する。いい感じでスピードに乗ろうとしているタイミングであるので、このまま行きたい気持ちと、先延ばししても何も良いことがない気持ちが折り混ざる。やっぱり、早めに手を打つことを選択。仕方なく、2キロの案内表示板で端に立ち止まり、左右のゲイターを膝下まで上げる。約5秒のロス。「焦るな、焦るな」と言い聞かせて再スタート。周りを見るが、同じようなペースで走る人が一向に見当たらず。前を走る人を抜き続ける。

 

■5km~10km(19:30-39'29)
5キロで20分ギリ。ほぼ設定通り。ただ、設定通りではあるが、無理して走っている分、多めの汗が吹き出してくる。「この低い気温で、この汗の量かー」と先の長い戦いに不安要素を感じる。合わせて、この辺りから10キロマラソンの人がコースに現れ出す。ソウル国際は前のゼッケンだけなので、後ろ姿だけでは判別出来ず。意外とさばくのに、ストレスを感じる。走力は無さそうだが、短い距離な分、意外と飛ばしている。今回は、いつも履いているものと同じ靴下を新品で履いたのだが、右の足裏に痛みを感じ出す。新品のノリが邪魔して、足に張り付いている感覚。「あぁー、やっぱり、本番前に一度使うか、最低でも洗えば良かった」と思うが、大惨事になるレベルではなさそう、と位置付ける。ここで、エリートのトップ集団とすれ違うが、日本人選手は見当たらず。

 

■10km~15km(19:39-59'08)
10キロは、想定より30秒近く速く通過。コンディションが良くて、身体が自然と動いているというより、ストレッチをしてスピードを出している。無理をするのは事前の作戦通り。ここで、ようやく見つけた同じようなペースの人たち。青シャツ君とオレンジのタンクトップ君、欧米系のランシャツ。気持ち的には楽になるが、呼吸が既に苦しい。抜かれ抜かれつつを繰り返す。ピッタリと横につくと気まずいので、並走することに。周りに人がいると断然走りのリズムが作りやすい。

 

■15km~20km(19:47-1:18'55)
予定にはない15キロで無意識にタイムを見てしまう。「別大と違って、レースに100%集中できておらず、タイムを意識した走りになっている」と自覚が生まれる。良くない傾向。タイムについて、設定した距離だけで意識するように、余計な邪念を取り払う。15キロで初の電解質パウダーの摂取。が、色々とnakedに入れ過ぎているせいで、うまく取り出せない。取り出すために、ペースダウン。「やっと出せた!」と思った瞬間に電解質パウダーが1つが落下。。。「拾う?進む?」の選択で瞬間的に「進む」を選択。ぶっつけ本番で電解質パウダーを取るものの、走りながら袋を開けて、水に溶かすのは難易度高過ぎ。すぐに諦めて、唾で溶かす作戦に変更。が、そもそも開けるのに苦労する。切れ目の位置が思い出せず、無理矢理開けると、粉が舞い、手袋が粉まみれ。気にしている場合ではないので、そのまま進む。黒を手袋な分、粉が目立つ。17キロ過ぎた辺りで、「ボチボチ板橋Cityがスタートする時間なはず。互いにベストを尽くしましょう」と荒川沿いに念を送る。この辺りで、暑さを感じ始める。手袋を1枚外して、nakedにしまうが、腰付近が荷物でパンパンになる。あー、邪魔臭い。「手袋捨てちゃおうかなぁ」と思うが、一瞬で我に立ち返る。一時的な欲求で捨ててしまうのは勿体ない。荷物の多さにに「ウルトラマラソンじゃないぞ!本当に全てを使い切るのか?」と自らの準備物を疑い出す。順調さを感じる反面、既に疲れを感じるようになり始める。

 

■20km~25km(19:40-1:38'35)
20キロ通過で時計を見て、キロ4を大きく切っていることを自覚。想定以上にハイペース。というより、オーバーペース。「本当はペースを抑えたい。でも、ペースを抑えるには勇気がない」結局、セーブする勇気が持てず、そのまま進む。20キロで、ベスパ ハイパーの1個目を摂取しようとした瞬間、持っていた手に力が入り、70%が飛び出し!あー、勿体ない。そして、既に何かがおかしい。まだ、半分の距離で、脳の指令と身体の動きにズレを感じる。嫌な予感。無理して走っている分、あらゆる箇所に力が入っている。全身から力みを取りたく、肩回しや両手をブラブラさせるが、今のスピードでは力を抜くのが難しい。ここでハーフを通過。手元の時計で「1時間22分台」。一瞬、思考停止になる。ハーフのベストは、1月のハイテクハーフの84分。そのハーフベストを2分も上回るペースで走っているわけだから、「そりゃ苦しいわけだ」と妙に納得する。苦しい理由が分かった瞬間。ここで、ベスパ ハイパーを摂取したお陰、呼吸が少し楽になる。ただ、いつもは、このラクな感覚が3-4キロ持つのに、今日は1キロしか持たない。いつものリズムの良さが未だに掴めない。ここで想定以上のオーバーペースが祟ったせいか、21キロから右腹に強烈な差し込みが始まる。差し込み自体に驚きはないが、いつもより痛みが強く深い。「結構、痛いが少しすれば治るだろう」と思い、考えないようにするが、痛みが永遠と続く。ただでさえ、呼吸が既に苦しいのに、差し込みの影響で顔は苦悶の表情に。「スピードを緩めたい。でも、まだ先は長い」を反芻しながら、ひたすらに前に進む。足を止めたら負けな気持ちが強い。「痛いこととスピードを緩めることは違うこと」と頭の中で無理やり切り分け作業を始める。まだ、頭の方は何とか動かせる。事前に作戦を立てていたとは言え、今回は、前半に無理をした分、残り20キロ近くは苦しい戦いが続きそうと感じる。ここで、前半の想定以上のオーバーペースを後悔する。「加減が効かず、少しやり過ぎちゃったかな?」と。

 

■25km~30km(20:31-1:59'06)
25キロでも、差し込みが続く。未だに手を緩めてくれない。流石に気持ち的には大分落ちてきた。「もう止めたい。歩きたい」気持ちと、「このまま日本に帰りたいから、空港に向かいたい」気持ち。「走る」という前向きな気持ちに全くなれない。ただ、わざわざ韓国まできて、歩くのは最悪に格好悪い。今の思考と自らの価値観が対立し出す。精神的には大分最悪な状態。歩きたい気持ちと、歩きたくない気持ちのがっぷりヨツが続く。ここで、スタート前にfacebookの投稿に対するコメントで「スタンバイ!」と書かれた文字を思い出す。これは「画面を通して、日本からの応援してますよ!というもので、同じような人が何人いるか分からないが、画面を通して応援してくれている人がいるはず!と声も人もいない日本からの応援を信じてみる作戦を考える。歩かない気持ちが少し優勢になる。更には、別大の時のように「30キロで仲間が待っている」と脳を騙すようなことを考えて、どうにか現状打破を試みる。でも、事実も思考も一向に変わらない。強めの差し込みの影響で、明らかにフォームが崩れ出す。気づくと足音がおかしい。脹脛に体重を乗せた負担をかけるフォームになっているが、差し込みが治らないことにはフォームを修正できない。分かっていても直せない苦しさ。イライラする気持ちが募り出す。25キロ過ぎでオーガニックジェルを摂取するが、イマイチ効かない。気持ちだけでも、シャキッとしたいのに。うーん、もう。ここから段々と、案内表示板がボヤけて見え出す。今までにない経験。「次、何キロだっけ?」と記憶も曖昧に。負のスパイラルど真ん中。

 

■30km~35km(21:13-2:20:22)
ギリギリ、キロ4ペースをキープ。差し込みの影響でフォームを崩して走っていた分、腰が明らかに落ちていることにここで気づく。「立て直せ!」と身体に信号を送るが立て直せない。後傾になっていることで、ストライドが伸びない。伸ばせない。間違いなく失速しているが、立て直せる兆しなし。更に、ヤバい予兆である1キロが長く感じ出す。明るい兆しが一向に見えてこない中で、最後のベスパ ハイパーを注入。飲んだ後は少しだけ呼吸が楽になるが、効くのはやっぱり1キロ余り。時間にして4分程度。「前半の貯金で何とかなるはず!」と信じるが、徐々に後続ランナーに抜かれることが増えて、焦る気持ちが募る。合わせて、電解質パウダー2つ目を飲むために水を取るが、取った瞬間にこぼしてしまい、紙カップは空っぽに。次の給水まで水を飲めないだけでなく、電解質パウダーを再度粉状のまま摂取することになる。少し口に入れては唾で溶かすを繰り返すが、口の中の水分がドンドン持って行かれる。「み、み、水〜」と追い込まれて、スポンジの水を飲もうと考えるが、リスクが高く、実行できず。悩ましい選択だが、攣る予防はしておかないと、後で大事故になると思い、仕方なく、唾で飲み続けることに。5キロに渡り、唾で飲み続けて、電解質パウダーを飲み終える。

 

■35km~40km(22:18-2:42'40)
ついに、攣る前兆が訪れる。「今回もやってきたか!」しかも、痛みを訴えてくる場所が脹脛ではなく、右膝の裏で想定と違う。直感的に「大きめの筋肉や神経が集まっている箇所だから、攣ったジ・エンドだな」と感じる。攣ったら、歩くこともままならない予感。攣ることも最悪だが、ここで歩いたら確実に気持ちも切れてしまう。30キロ以降は、明らかに前半の貯金をもうスピードで食いつぶしているので、どうにか最低限のペースに戻したいが、ちょっとでもペースをあげようとすると、右膝裏からの攣るアラートが大きくなる。「何が出来ることはないか??」とおここで塩熱サプリの存在を思い出す。急遽、取ろうと思うが、しまった場所が思い出せず、悪戦苦闘。無駄なストレスがかかる。袋が見つかった後、開けたらすぐに3個出てきたので、とりあえず口に放り込む。すぐに噛まずに、口の中で遊ばせるが、気分転換にはならず。今日は何をしても快復するキッカケがつかめない。浮上するポイントが見つからない。かなり苦しい呼吸と視界のボヤけで精一杯のところに、右膝の後ろのケアが加わる。ぶっちゃけタイムとかどうでも良くなっている。あるのは、ゴールしたい気持ちだけ。この区間は橋を登って、橋の上を走る箇所であったが、普通の道路と違い、見晴らしが良い分、先が遠く長く感じる。

 

■40km~ゴール(9:43-2:52:14)
40キロの時点で時計をみると、ついにキロ4から陥落。「まぁ、仕方ない。これが今の実力だ」と自覚する。その反面、「攣らなければ、自己ベストは更新できる」と確信する。残りの2キロ弱はもがいて、51分台を目指したいと思うが、身体が言うこと聞かない。足は止めないが、気持ちが前向きになれず、もう攻められない。51分を目指して無理するより、身体を守ることを選択。情けないが、これが今日のベストな選択と言い聞かせる。呼吸の苦しさと視界のボヤけは無視して、攣らずにゴールすることだけを考える。ここまで来たら、意地しかない。残り1キロを切って、ゴールの陸上競技場が見えてくる。この辺りは沿道が応援してくださる人で溢れていた。気持ちは嬉しいが、反応する元気も気力も残ってない。出来るのは、会釈と口をパクパクするだけ。下手な動きをして、脚が攣ったら大惨事のため、気持ちだけ有難く受け取る。最後も「1キロ長い。早くゴールしたい」ばかりを考えて、競技場内に入る。時計を見ると、50分台前半。「残りのトラックを頑張れば、51分台行けるか?」と思うが、結局思うだけ。最後まで、身体は思った通りに動かせず、ゴールイン。手元の時計で、2時間52分13秒。

 

■ゴール後
やっと立ち止まって、呼吸が落ち着き出す。足も攣る寸前だが、何とか最後まで持った。トラックの側にある柵を支えにして、気持ちを切り替える。周りを見渡すと、結構な日本人がいることに気づく。同じようなタイムで走っていたようだ。ゴール後に欧米系の方と談笑している日本人をお願いして、ゴール後の記念写真。その後、手荷物エリアまで歩くが、真っ直ぐ歩くことも困難な状況。座り込みたいが座ってしまうと立ち上がれない気がするので、牛歩で前に進む。お土産の品を受け取り、ポカリのブースで写真を取り、無料のマッサージを受けて、やっと普通の人間らしい精神状態に戻り出す。ここで、板橋Cityのことを思い出して、応援ナビを開く。ケガで苦労していた仲間のランナーが3時間12分台でゴールしていて、思わずガッツポーズ。周りの外国人の人たちから若干白い目。この時点で、まだゴールしていない仲間もいるので、改めて荒川沿いにエールを送る。ポカリのブースやマッサージを受けるために、走ったままの格好で待っていたため、身体が冷えてしまい、ブルブル震え出す。周りの外国人の方も、その国の言葉で「きっと大丈夫?」を声をかけてくれるが、意味が分からず、とりあえず「OK」とうなずきで反応。が、結構やばめの震えで低体温症の可能性を感じたので、手荷物預かり所に行き、すぐにウェアを着て、震える身体が落ち着き出す。その後、「今回は記憶が相当混濁しているから振り返りを書くのは難しいなぁ・・・」とぼんやり考えつつ、近くで配っていたインスタントコーヒーを飲むと、あまりのおいしさに感動する。2週間ぶりのカフェイン。そのコーヒーの温かさが疲れた心に強く突き刺さり、何故だか涙がこぼれ出す・・・ゴール後に泣いたことなんてないのに。不思議な感情だったが、「本当に、このレースが苦しかったのかな?」と思うことにした。

 

おしまい。